指揮者の部屋
2024年03月20日 18:22
Ⅰ.プロコフィエフの生涯 プロコフィエフは、1891年4月11日(新暦23日)にウクライナのソンツォフカという農村に生まれた。父親は農業技術者、母親は農奴の家に生まれた。母親は、6歳の時にロシアでは農奴解放となったという時代背景もあり、すぐれた知性と音楽性を発揮できて、ピアノも演奏していた。プロコフィエフは5歳半から作曲を始め、ペテルブルク音楽院で10年間学び、1914年にはピアノ科を主席で卒業した。また、1917年のロシアにおける社会主義革命の後1918年にシベリア、そして日本経由でアメリカに向い、1920年代はヨーロッパで生活してピアノ協奏曲第3番をはじめ多くの名曲を作曲し、ピアノも演奏し
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2024年03月08日 08:37
Ⅰ はじめに今回は、「大地の歌」について、主要動機の分析などをはじめとして、各楽章の解説をさせていただきます。マーラーは、「さすらう若人の歌」「子どもの不思議な角笛」「なき子をしのぶ歌」「大地の歌」など、数多くのオーケストラと独唱(~重唱)による楽曲などを作曲しましたが、「大地の歌」だけをわざわざ交響曲としたのは、
主要楽章である第1・第6楽章が明らかにソナタ形式によっていること、それ以上に全楽章を通して、一貫して共通した動機で、全曲がまとめられていることが大きいと考えます。マーラーが緻密な構成感、論理性の中に、実に多様な表現を実現させたという点でも、「大地の歌」は稀有な曲といえるのではないで
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2024年01月20日 08:41
はじめに 伊勢管弦楽団では、団員の情熱や熱烈な団友のご助力もいただき、これまでに定期演奏会などでマーラーの全11曲の交響曲中10曲を演奏してきました (未完成の交響曲第10番は、第1楽章アダージョのみ)...
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2023年05月07日 17:55
「奴もまた俗人であったか!」ナポレオンが皇帝の座に着くや、激昂したベートヴェンは楽譜の表紙を破り捨てたという。現存する浄書譜表紙の「ボナパルト」の文字が削り取られ、イタリア語で「Sinfonia eroica」とベートーヴェン自身が書き直しているのを見れば、この逸話も事実なのだろう。ウィーンから見れば敵将のナポレオンを、世間の非難に屈せず賞賛していたところにその精神を解く鍵がある。彼は世界的視野で、共和制の時代を担う人間像を待望していたのではないか。イタリア語の「eroica」は形容詞で、「Sinfonia...
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2023年04月08日 14:51
はじめに リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)の生涯については、2017年の第36回定期演奏会の前に「ばらの騎士」などについての原稿(2017年1月22日掲載)の中で述べましたので、ご一読いただければ幸いです。R.シュトラウスが交響詩を数多く作曲したのは、1886年から1898年まで、すなわちR.シュトラウスの20代から30代にかけての青年期~壮年期で、この時代にR.シュトラウスは7曲のしばしば演奏される交響詩を作曲しました。当時シュトラウスは次のように語っていました。「新しい思想は新しい形式を求めねばならない。リストの交響作品では、詩的想念が同時に形式を作る要素になっており、リスト
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2022年11月13日 13:45
Ⅰ はじめに 伊勢管弦楽団では、2022年12月25日のクリスマスに「宗教改革」交響曲を演奏する機会をいただきました。メンデルスゾーンの生涯については、以前に指揮者の部屋で紹介し、拙著にも転載しましたので、ご一読いただければ幸いです。ベートーヴェンの第9交響曲第4楽章の前に「宗教改革」を演奏するという意図としては、ベートーヴェンが第9で歌い上げている人類愛とメンデルスゾーンのキリスト教への傾倒に共通する要素が少なくないことがあります。そこで、「宗教改革」の成立の背景から述べたいと思います。Ⅱ 「宗教改革」交響曲の成立の背景 メンデルスゾーンは、1809年2月3日にハンブルクで生まれた。父のアブ
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2022年04月23日 10:16
譜例はこちらをご覧ください。はじめに 新型コロナウイルスの感染が2年以上にわたって続くという想定外の厳しい状況のもと で、40 周年記念定期演奏会を1年遅れではありますが、2022 年5月 15 日に開催する予定 となりました。マーラーの交響曲第 3 番は、規模の大きいマーラーの交響曲の中でも、演奏 時間約 100 分と最長を誇る曲です。今回の指揮者の部屋では、第 40 回記念定期演奏会が無 事に実現することを祈りながら、交響曲第3番の解説をさせていただきます。 I 成立の背景 ―標題について― 交響曲第3番は、1895 年から 1896...
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2021年11月03日 10:23
はじめに 2021年も、2020年から1年半以上続くコロナ禍で困難の多い年になりましたが、伊勢市民オペラプロジェクト「ヘンゼルとグレーテル」の公演が迫ってきました。緊急事態宣言が再度出されないことを祈りつつ、この傑作オペラの解説をさせていただきたいと思います。「ヘンゼルとグレーテル」は、モーツァルトやヴァーグナーのような天才作曲家によって作曲されたオペラではありません。フンパーディンクの曲のなかで、「ヘンゼルとグレーテル」以外は、ほとんど無名と言っても過言ではないでしょう。でもこのオペラは、初演されてから138年間、世界中で愛されて、演奏され続けています。伊勢管弦楽団としても、伊勢市観光文化会
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2021年04月04日 20:16
譜例をこちらからダウンロードして御覧ください。Ⅰ 第39回定期演奏会のプログラム決定の経緯 2020年から2021年にかけて、ほとんどの音楽団体がコロナ禍の影響を受けましたが、まずこの指揮者の部屋では、伊勢管弦楽団のこの1年あまりの練習や演奏会に関する協議の経緯などについてご報告いたします。伊勢管弦楽団では2020年5月17日に予定していました第39回定期演奏会を新型コロナウイルスの流行のために中止せざるを得なくなりました。練習も2020年3月から約4か月停止となりました。2020年12月13日に開催予定であった第10回松阪第九については、合唱付きの第九は実現不可能でしたが、松阪の第九を主催し
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2020年10月24日 22:49
Ⅰ.はじめに 2020年は、世界中が新型コロナウィルス感染症のため震撼させられた一年となりました。クラシック音楽の世界も同様で、2020年の3月頃から夏までのシーズンはほとんど全てのコンサートがキャンセルとなり、練習も思うようにできませんでした。伊勢管弦楽団も同じ状況で、2020年5月17日に予定していた第39回定期演奏会は延期となりました。2020年12月13日は、本来はクラギ文化ホールで第10回目の松阪第九コンサートが開催される予定でしたが、大人数での合唱は、感染予防に必要な十分な距離が確保できないなどの事情もあり、伊勢管弦楽団が代わりに演奏会を単独で担当させていただくことになりました。
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